素材の知識

販売の仕事では、素材の知識も必要です。 繊維は大きく分けて天然繊維と科学繊維があり、さらに細かく分類されます。また、家庭用品品質表示法により繊維の呼称が指定されており、指定されていない物は家庭用品品質表示法による繊維と認めておらず、それらを表示する場合は「指定外繊維(◯◯◯)」と表記しなければなりません。

<天然繊維>

ウール(動物繊維/タンパク質高分子/獣毛繊維)

一般的にメリノウールの事をさし、オーストラリアが世界最大の産出国です。その他、南米羊毛、アジア羊毛などがあります。

※特性

・ 羊毛は毛が縮れて絡み合っている為、高い保湿性と伸縮性に富んでいる。
・ 適度な吸収性がありながら水もはじく性質なので、汗をかいても湿った感じがない。
・ 弾力性があり、回復力が強い為、型くずれしにくい。
・ 染色性がよく、燃えにくい。
・ ピリング(毛玉)になりやすい。

カシミヤ(動物繊維/タンパク質高分子/獣毛繊維)

柔らかくて軽いカシミヤは、上品な光沢感のある「繊維の宝石」と呼ばれています。中国、モンゴル、イランなど、寒暑の厳しい山岳地帯に生育するカシミヤ山羊の柔毛(うぶ毛)を原料としています。

※ 特性

・ 上品な光沢感と独特の風合いがあり、しなやかさが魅力。
・ 繊維が細く(直径14,5~16,5ミクロン)、柔らかくて軽い。
・ 着心地がいい。
・ ピリングになりやすい。
・ 高級になればなるほど繊維が細く、デリケートになるのですれ(摩擦)や虫に弱い。

アルパカ(動物繊維/タンパク質高分子/獣毛繊維)

アルパカは、南米ペルーの中部~南部、およびボリビアに分布しており、海抜3650Mの高地に生息するアルパカからとれる獣毛を原料としています。アルパカはビキューナと共に、南米アンデス山脈の高地が与えた恵みと呼ばれています。

※ 特性

・ なめらかな手触りが特徴。
・ 強く、絹の様な光沢がある。
・ 長い毛足で、毛並が揃っている。
・ 毛の色で勝ちが異なり、淡色で光沢のある物が高品質。
・ 虫が付きやすいので、クリーニングをこまめにするなど日頃の手入れが大切。
・ 毛が長いので摩擦を避け、着用後はブラシッグして毛並みを整える事をお勧めします。

ビキューナ(動物繊維/タンパク質高分子/獣毛繊維)

ビキューナは、南米アンデス山脈の高地に生息するビキューナからとれる獣毛を原料としており、ワシントン条約により輸出禁止措置がとられているほど生息の少ない種類です。ビキューナはアルパカと共に、南米アンデス山脈の高地が与えた恵みと呼ばれています。

※ 特性

・ 獣毛繊維の中でもっとも細く柔らかい毛。
・ 黄金、栗色で光沢がある。
・ 弾力性がある。
・ 希少価値があり、大変高価。
・ 虫が付きやすいので日頃の手入れが大切。
・ 毛が長いので摩擦に注意する。

キャメル(動物繊維/タンパク質高分子/獣毛繊維)

ウールより細く、柔らかく風合いの良いナチュラルカラーの衣類用キャメルは、旧ソ連ン南部、中国西北部、中央アジアなどに生息するふたこぶラクダからとれる獣毛を原料としています。キャメルは柔らかい毛と堅い毛に分類され、柔らかい毛は衣類に用いられ、堅い毛はベルト芯地やテント地に使用されます。

※ 特性

・ 保湿性、弾力性に富む。
・ 軽く、手触りがよくラクダ色独特の光沢がある。
・ 染色性が悪く、ほとんどがナチュラルカラー。
・ 生産量は羊毛のわずか0.14%ときわめて稀少な繊維で高級品。
・ 毛が抜けやすいので、摩擦は出来るだけ避ける。
・ 虫に弱いので、防虫剤を入れて保管する。

アンゴラ(動物繊維/タンパク質高分子/獣毛繊維)

アンゴラうさぎからとれる高級な獣毛で、繊維が長く柔らかい風合いは豪華な雰囲気を醸し出してします。主な生産国は中国で、世界総生産量の約95%を中国で生産しています。

※ 特性

・ 毛が白く、絹の様に細くて柔らかい。
・ 光沢があるため、パステルカラーの染色が美しい。
・ 毛の中央が空洞なので保湿性に優れ、軽い。
・ 羊毛と違い、表面が滑らかで毛が滑って抜けやすい。
・ 毛羽がからんでピリングになりやすく、静電気が起きやすい。
・ 虫に弱いのでこまめにクリーニングする。

モヘヤ(動物繊維/タンパク質高分子/獣毛繊維)

北アメリカ、西アジア、南アフリカなどの生育するアンゴラ山羊からとれる獣毛が原料で、絹のような光沢があり、柔らかく、ボリューム感のあるセーターなどに使用されます。モヘヤは、南アフリカが世界第一位の産出国で、それらはもっとも高級な物として知られています。

※ 特性

・ 絹のように上品で光沢感がある。
・ 柔らかく、弾力性に富み、手触りが良い。
・ 断熱性、保湿性に富む。
・ 毛が長く、抜けやすい。
・ 静電気が起きやすい。

麻(植物繊維/セルロース高分子/じん皮繊維)

夏素材代表の麻は、クセが強くそれが大きな魅力となっている繊維で、世界には数十種類の特徴の異なる麻があります。衣料用繊維として「麻」と品質表示出来るものは、太く長い繊維のラミーと細く短い繊維のリネンの2種類だけです。

※ 特性

・ 熱伝導が早く、すぐに発散し、水分の吸湿、発散も早いので清涼感がある。
・ 通気性に富み、細菌やバクテリアの発生率が低く、衛生的。
・ 水に濡れると強度が60%アップする。
・ 弾力性がないため、シワになりやすい。
・ 摩擦により毛羽立つため、白化しやすい。
・ 弾性回復率に乏しいため、リブ組織は伸びやすい。

綿(植物繊維/セルロース高分子/種子毛繊維)

日本の衣料素材の約4割に使用される綿の魅力はなんといっても着やすさです。産地によっていくつかの種類があり、用途によって使い分けされます。

※ 特性

・ 繊維の先端が丸みを帯びており、柔らかく肌触りが良い。
・ 水分を吸収、発散するため、さらりとしている。
・ しっかり染まり、発色性に富む。
・ 着用や洗濯などの摩擦により毛羽立つため、白化しやすい。
・ 中空繊維のため、形を整えて自然乾燥しなければ縮んでしまう。

絹(動物繊維/タンパク質高分子/繭繊維)

真珠の輝きと華麗なドレープの絹は、繊細でしなやかな美しい光沢繊維です。絹の約50%は中国で生産されており、次に日本、インド、旧ソ連と続き、これらの国の生産量は全世界の約90%を閉めています。消費にといては、日本が約40%弱、その次は中国、アメリカ、旧ソ連となっています。

※ 特性

・ 美しい光沢がありしなやかでドレープ性が高い。
・ 軽くて保湿性があり、温かい。
・ 害虫に弱く、酸やアルカリ、熱に弱い。
・ 吸湿、発散性に優れている。
・ 毛羽立ちやすく、白っぽく見える。
・ 水ジミになりやすい。

<化学繊維>

レーヨン(再生繊維/天然高分子/セルロース系)

紙と同じ木材パルプに含まれているセルロースという繊維質を一度薬品で溶かし、細長い繊維に再生することから再生繊維と呼ばれるレーヨンは、やわらかさと光沢が魅力です。

※ 特性

・ 美しい光沢感があり、繊維が柔らかくドレープ性がある。
・ 染色性に優れ、色鮮やかに染まる。
・ 吸湿性が高く、さらりとした肌触り。
・ シワになりやすく、水滴や水ジミになりやすい。
・ 繰り返し着用する事でコシや光沢が減少する。
・ 毛羽立ちやすく、白っぽくみえる。

リヨセル・テンセル(精製繊維/天然高分子/セルロース系)

自然や人体に無害な溶剤に木製パルプを溶かし、フィルターでろ過した後パルプの不純物を取り除き、無数の細かい穴から押し出し紡糸して作ります。生地や製品段階でバイオ加工やウォッシュアウト加工を行い、色々な表情や風合いを生み出しています。

※ 特性

・ ソフトな風合いでドレープ性に富み、美しい光沢感がある。
・ 湿潤時でも強度が低下しない。
・ 吸湿性、速乾性に優れている。
・ 水洗い(手洗い)で若干縮む事がある。
・ 摩擦により白化しやすいので、湿潤状態での摩擦は特に避ける。

ポリノジック(再生繊維/天然高分子/セルロース系)

ポリノジックとキュプラはレーヨンと同じ仲間の再生繊維で、高度な技術から産まれました。ポリノジックは、日本で研究、改良された「改質レーヨン」で、水で縮むレーヨンの欠点を改良しました。

※ 特性

・ レーヨン同様、美しい光沢感がある。
・ 染色性にすぐれ、色鮮やかに染まる。
・ 繊維が柔らかく、ドレープ性がある。
・ 吸湿性が高く、さらりとした肌触り。
・ シワになりやすい。
・ 水滴や雨により水ジミになる事がある。
・ 繰り返し着用する事により、コシがなくなり光沢が減少する。

キュプラ(再生繊維/天然高分子/セルロース系)

キュプラとポリノジックはレーヨンと同じ仲間の再生繊維で、高度な技術から産まれました。キュプラはベンベルグという商標名で旭化成が世界的なシェアで生産している、コットンリンターを主原料とした再生繊維で、一般的に裏地として使用されます。

※ 特性

・ 絹に近い光沢感がある。
・ 染色性にすぐれ、色鮮やかに染まる。
・ 吸湿性が高く、さらりとした肌触り。
・ シワになりやすい。
・ 水滴や雨により水ジミになる事がある。
・ レーヨン、ポリノジックに比べ摩擦に強い。

アクリル(合成繊維/合成高分子/ポリアクリロニトリル繊維)

アクリルは、石油を原料とする合成繊維で、ウールに似た性質の短繊維(ステープル)と、シルクに似た長繊維(フィラメント)とがあり、おのおの特性が異なります。

※ アクリル短繊維の特性

・ 染色性に優れ、色鮮やかに染まり、色落ちの心配はほとんどない。
・ 薬品に強く、カビや害虫の影響をうけにくいので、保管が容易。
・ バルキー性があるため、保湿性が良く、ふっくらと温かい。
・ 毛やポリエステルより軽く、弾力性があるため、シワになりにくい。
・ ピリング(毛玉)、静電気が起きやすい。

※ アクリル長繊維の特性

・染色性に優れ、色鮮やかに染まり、色落ちの心配はほとんどない。
・ 薬品に強く、カビや害虫の影響をうけにくいので、保管が容易。
・ 美しい光沢とドレープ性が魅力。
・ 繊維が細いため、ひっかけやすい。
・ 熱の影響を受け、変形することがある。

ポリエステル(合成繊維/合成高分子/ポリエステル系)

もともとポリエステルは、麻や綿に似せて開発された石油を原料とする合成繊維のひとつで、今日ではハイテク技術を応用したマイクロファイバー(超極細繊維)のものが主流となっています。

※ 特性

・ 吸湿性が低く、速乾性に富み、水による収縮がない。
・ 弾力回復率が高く、シワや型くずれの心配がない。
・ 薬品に強く、カビや害虫の影響を受けにくいので、保管が容易。
・ プリーツの保持力が高い。
・ 静電気が起きやすい。

ポリウレタン(合成繊維/合成高分子/ポリウレタン系)

ポリウレタンは、1940年頃にドイツで開発された5~10倍の伸縮性を持つゴムの様な繊維で、一般的にスパンデックスと呼ばれており、水着やスポーツウエア、靴下、下着などに幅広く用いられている繊維です。

※ 特性

・ ゴムの様な伸縮性がある。
・ 天然ゴムと異なり、染色性がある。
・ 温度や湿度の急激な変化があっても、素材性能は安定している。
・ 塩素や光、カビなどにより脆化する事がある。

アセテートとトリアセテート(半合成繊維/半合成高分子/セルロース系)

アセテートとトリアセテートは、木材パルプのセルロース成分に酢酸を作用して作る合成繊維で、セルロースは天然の物で、酢酸が合成品であることから半合成繊維に分類されています。

※ アセテートの特性

・ 絹のような美しく上品な光沢感がある。
・ 毛と同じ様な風合いと豊かな感触が魅力。
・ 適度な吸湿性、保温性、弾力性がある。
・ 美しいドレープとシルエットが表現出来る。
・ 引っぱり強度はレーヨンより弱く、摩擦にも弱い。

※ トリアセテートの特性

・ 上記のアセテートとほぼ同じ特性だが、湿潤時の形状安定性、耐熱性が少し改善されている。

ナイロン(合成繊維/合成高分子/ポリアミド系)

ナイロンはアメリカ・デュポン社が1936年に開発、商品化しや世界で初めての合成繊維ので、クモの糸より細く鉄よりも強いのが特徴で、今日でも幅広く使用されています。

※ 特性

・ きわめて強く、水に濡れ手も強度が低下しない。
・ 軽く弾力性があり、シワになりにくい。
・ カビや害虫に強く、保管が容易。
・ 吸湿、吸水性が小さく、プリーツセットが出来る。
・ 静電気が起きやすい。